フクダ電子アリーナ

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2017年11月13日月曜日

豊田スタジアムの歩き方 徹底攻略ガイド 豊橋旅行 その9



 2016年のシーズンオフ、チームの主力だった井出遥也選手がガンバ大阪に、オナイウ阿道選手が浦和レッズに完全移籍すると、長澤和輝選手、藤嶋栄介選手が期限付き移籍の満了で退団。


 谷澤達也選手が期限付き移籍先の町田ゼルビアへ完全移籍、小池純輝選手は愛媛FC、仲村京雅選手はYS横浜、浦田樹選手はギラヴァンツ北九州へそれぞれ期限付き移籍し、富澤清太郎選手が契約満了で退団する一方、




 高橋GMが財政面の正常化を推し進めつつある2年目の今シーズンは、サガン鳥栖から清武功暉選手、ヴィッセル神戸から山本海人選手を完全移籍で、ガンバ大阪から西野貴治選手、横浜FMから熊谷アンドリュー選手が期限付き移籍で加入。


 かつてオシムチルドレンと呼ばれ、FC東京から10年振りの復帰となった羽生直剛選手を完全移籍で獲得するなど、経験のある地元出身選手にもチームの再建を託す姿勢が伺えました。




 新外国人選手には、スペインリーグ1部で2シーズン連続二桁得点の実績を引っ提げ、その市場価値4億8,000万円とも言われていたアルゼンチン人ストライカーのホアキン・ラリベイ選手をUAEのバニーヤースから獲得。


 かつてジェフでプレーした経験のある、オーストラリア代表マーク・ミリガン選手から、「ジェフ千葉は素晴らしいクラブだから、このオファーは君にとっても良いチャレンジになるだろう」と助言されたことから、未知なるJリーグでの挑戦を決意。


 さらに、パラグアイU-17の代表歴もある、ホルヘ・サリーナス選手を完全移籍で獲得。
パラグアイの強豪オリンピアでは、現在、ジェフ千葉に所属するアランダ選手と一緒にプレーしていたということで、こちらも大きな戦力になってくれそうです。

 


 新人としては、第95回全国高校サッカー選手権で見事、青森山田高校を初優勝に導いた高橋壱晟選手、流経大柏高校出身で慶應大学では主力を務めていたDFの溝渕雄志選手を獲得。


 早い段階からその資質を認め、選手の成長・育成プランを提示することで、複数のクラブが欲しがる才能ある選手の獲得に成功するなど、数年先を見据えたチーム作りも着々と推し進めていきました。




 年が明け、沖縄県糸満市にある西崎運動公園陸上競技場でのキャンプが始まると、エスナイデル監督はそれまで見たことも無いような戦術でチーム作りを推し進めていきました。


 監督就任会見では、「積極的に前からボールを取りにいくチームを作りたい。テクニカルなレベルはチームとしてとても高いレベルにありますし、


 個々を見てもテクニックのある選手が多く、そうしたチームとしてのベースに、私が監督としてもたらせられるものを上手く融合していきたい。このチームはもっと試合の主役になれるし、もっと攻撃的なサッカーが出来るはず」




 アグレッシブに高い位置からプレッシャーを掛けていく中で、各ラインをコンパクトに保ち、ピッチ上の選手達がはっきりしたアイデアを持って90分間プレーし続ける。今ではすっかりジェフ千葉の代名詞にもなった「ハイライン・ハイプレス」戦術を明言しました。


 「引いて守ってカウンターという戦術が多いJ2リーグの中で、試合の主導権を握って主役の座についた中で、結果を狙いにいきたいと考えています」



 
 沖縄キャンプの最中に行われた、「2017 Jリーグ DAZNニューイヤーカップ 沖縄ラウンド」では、中央からの攻撃だけに頼らず、チームとして取り組んだサイドを大きく使って攻撃に厚みをもたらすことを目指して戦いましたが、


 既存戦力との連携不足や相手チームとの仕上がりの差など、まだまだ質を上げていかなければいけないことを痛感。結果、第1戦の vs FC琉球戦を1-3、第2戦の vs コンサドーレ札幌戦を0-0のスコアレスドローと、1分け1敗のグループ最下位に終わりました。 




 リーグ開幕前の2月11日(土・祝)、最後のプレーシーズンマッチとして行われた、「第22回 ちばぎんカップ」では、同じ千葉県がホームタウンで前年J1・8位の柏レイソルと日立柏サッカー場で対戦。




 試合が始まると、「守備でも攻撃的な姿勢を貫きたい」とエスナイデル監督が語っていた通り、やり過ぎなほど高めに設定されたDFラインを構築。


 GK 山本海人選手がDFとキーパーの間のエリアを積極果敢な飛び出しでケアすると、前半は柏レイソルから6本のオフサイドを奪い、無失点に抑えます。




 ディエゴ・オリヴェイラ選手、クリスティアーノ選手、伊東純也選手という、J1でも屈指の攻撃力を誇るFW陣に、ハモン・ロペス選手が加わった今年の柏レイソルの圧力は凄まじく、


 後半15分、右サイドを鋭く突破した伊東純也選手のクロスに飛び込んだハモン・ロペス選手のヘディングは空振りに終わったものの、左で待ち構えていたクリスティアーノ選手が左足で豪快に叩き込み、柏レイソルが先制に成功します。




 スタジアムの興奮冷めやらぬ後半18分、後方からのロングボールに反応したクリスティアーノ選手が頭で流すと、スルスルとボックス内に侵入してきたディエゴ・オリヴェイラ選手がしっかりとチャンスをモノにし、柏レイソルがリードを2点に広げました。


 反撃を試みたいジェフ千葉でしたが、終盤は負傷者が出たことで一人少ない戦いを強いられたことと、前半からのハイライン・ハイプレスでスタミナが続かず、結果は柏レイソルが2-0で勝利。90分という時間をどうマネジメントしていくのか?を問われた試合となりました。




 それでも、エスナイデル監督は「良い時間帯もあった。その時間は自分達のやりたいことも出来ていた。ハイプレスを掛けて相手陣内でボールを奪うこと。それが体現できている時間帯もあった」と語り、これまでのチーム作りについても一定の評価を与えました。


 高いDFラインが災いし、簡単なミスをすると一気にピンチを迎えてしまう今年のジェフのサッカーですが、エスナイデル監督には「見えている」であろう、このサッカーの完成形を信じて、いよいよリーグ戦が始まっていきます。




 2017年2月26日(日)、ジェフ千葉にとってJ2での8年目のシーズンが開幕しました。




  開幕戦はアウェイでの町田ゼルビアFC戦。3-5-2システムでスタートしたジェフ千葉はキックオフのホイッスルが鳴ると同時に猛然とボールホルダーに襲い掛かります。




 守備では最終ラインを高く設定してオフサイトを何度も取り、攻撃では両サイドに何度も展開して数的優位の状況を作りました。




 ジェフ千葉と同じく最終ラインを高めに設定してきた町田ゼルビアFCとの攻防は、ショートカウンターの応酬となりましたが、DF近藤直也選手を中心とした組織的な守備で冷静に対応しました。




 すると、前半40分、北爪健吾選手のパスを受けた町田也真人選手が鋭い切り返しで相手をかわし、左足でシュート!これがゴール右隅に決まり先制すると、千葉から応援に駆け付けたゴール裏のサポーターの声援も一段と大きく沸きました。




 しかし、後半はハイプレスの疲れが影響したのか、相手に押し込まれる時間帯が続きます。試合も3分の2を過ぎると劣勢の色は濃くなり、ピッチ上の選手達の動きも疲労感が見え始めました。




 67分、70分、77分と立て続けに交代選手をピッチに投入し打開を図るも、ジェフ千葉にとっては我慢の時間が長く続きました。




 が、体を張り続けたDF陣の奮闘も光り、1-0のまま試合終了のホイッスルが鳴り響き、町田市立陸上競技場のゴール裏ではジェフ千葉の勝利に沸くサポーターの姿がありました。




 この試合、高卒ルーキーとしては2000年の阿部勇樹選手以来となる、開幕スタメンとなった高橋壱晟選手の活躍や、シーズン開幕前に沖縄合宿で徹底してトレーニングしたサイドチェンジの質など、多くの収穫があった開幕戦となりました。




 翌週、11,807人を収容したホームのフクアリで立ちはだかったのは、かつてジェフ千葉を指揮したことがある、木山隆之監督率いるモンテディオ山形でした。




 ホームのジェフ千葉は、前半立ち上がりから豊富な運動量と組織的なプレスで幾度もチャンスを作り、ゲームの主導権を握ることに成功。




 「先制点を奪い、相手が同点を狙って上がってきたところをカウンターで仕留める」という戦略でハイライン・ハイプレスを仕掛けているにも関わらず、53分、ジェフの左サイドから突破を許すと、クロスをゴール前に走り込んできた阪野豊史選手に押し込まれ痛恨の失点。




 攻撃と守備の繋ぎ役が足りないと感じていたエスナイデル監督は、55分、高橋壱晟選手に換えて熊谷アンドリュー選手を投入。




 すると60分、果敢に同点を狙いに行ったジェフ千葉は、相手ペナルティエリア内でFWラリベイ選手が倒されてPKを獲得。これを船山貴之選手が冷静に決めて試合を振り出しに戻しました。




 これで勢いに乗るかと思われましたが、徐々に選手達の動きに疲労感が見え始め、両チームともカウンターを仕掛ける大味な攻防が続くことに。
 



 相手のシュート5本に対し、ジェフ千葉が放ったシュートは倍の11本と何度もゴールに迫りチャンスを作りましたが、逆転ゴールを奪うまでには至らず。ホームでの開幕戦は1-1のドロー決着となりました。




 試合後のコメントでエスナイデル監督は、「内容的にはやりたいサッカーが明確に見えたゲームでした」と語りました。




 立ち上がりから積極的に仕掛けて、相手を圧倒して先制点を奪い、組織的に戦って勝利を掴み取る。問題は自分達のサッカーが出来ている時間帯に、いかにゴールを奪って優位に試合を進めることが出来るか?


 試合ごとにその精度は上がっており、今後に向けて十分な手応えが得られたことがせめてもの収穫となりました。




 3月11日にフクアリで行われた vs 名古屋グランパス戦は、開幕直後にして最大の天王山ということで、8シーズン振りに対戦することになった名古屋グランパスとの戦いぶりを観ようと、フクダ電子アリーナには両チームのサポーターが13,877人も集まりました。


 悲願のJ1昇格を果たすためには必ず倒さなければいけない相手です。佐藤ツインズが対戦するとあってメディアでは大いに注目されましたが、スターティングメンバーに佐藤勇人選手の名前は無し。




 3-5-2でスタートしたジェフ千葉は、小刻みにパスを繋いでくる相手に対し積極的なハイプレスでボールの出し手、受け手、両方に強烈なプレッシャーを掛け続けていきました。


 昨シーズンのJ1で自信を失っていた名古屋グランパスに対し、ジェフ千葉は前半の立ち上がりから多くのチャンスを作ります。




 7分、船山貴之選手のポストプレーから町田也真人選手が強烈なボレーシュート!ボールはポストの僅か左をかすめた素晴らしいシュートとなりました。


 9分にはセットプレーの流れから船山貴之選手がクロスを放り込み、多々良敦斗選手がヘディングで落としたボールをイ・ジュヨン選手が飛び込むもゴールには至らず。




 直後に名古屋グランパスの佐藤寿人選手に強烈なボレーシュートを打たれましたが、前半のピンチというピンチはこの1度だけでした。




 ジェフはさらに攻勢を強め、19分には町田也真人選手からのクロスをラリベイ選手がヘディングシュート!ボールはゴールの枠を捉えるも、GK楢崎正剛選手の必死のパンチングで外に弾き出されてしまいました。




 21分には立ち上がりから積極的な姿勢でゴールを狙った町田也真人選手がミドルシュートを放ちました。


 前半のジェフ千葉は前線から激しいプレスを仕掛け続けることにより、プレッシャーに耐えきれなくなった相手がミスを連発したことで、何度もセカンドボールを拾え、相手陣内でプレーをする時間が多い展開となりました。




 内容が良い時ほどゴールは奪えないものですが、課題の先制点は前半終了間際の44分に生まれました。


 ゴール左の高位置でフリーキックを獲得したジェフ千葉のキッカーはホルヘ・サリーナス選手。ちょんと出されたボールを船山貴之選手が止めると、早く低い弾道で放たれたクロスはゴール前で待ち構えていたDF西野貴治選手にまさにドンピシャに入っていきます。




 ラリベイ選手を超えたボールはゴール真正面に最短距離で走り込んできた西野貴治選手の頭にピンポイントに届き、勢いを上げた弾丸シュートにGK楢崎正剛選手は一歩も動けず。


 ジェフ千葉にとっては最高の時間帯での先制ゴールとなりました。


 後半の開始と同時に守備力の強いワシントン選手に交代すると、名古屋グランパスに押し込まれる場面が続きましたが、冷静に対処しながら落ち着きを取り戻したジェフ千葉。




 テクニックを全面に押し出し、個の力で打開を図る名古屋グランパスに対し、チーム一丸となって相手の攻撃を跳ね返し続け、時には一瞬のスキを見て、カウンターに転じれば決定機を作る。


 エスナイデル監督は57分に熊谷アンドリュー選手に代え、羽生直剛選手を投入。
66分には船山貴之選手に代えて清武功暉選手を投入するなど、積極的な選手交代で流れを引き戻し、試合終盤になってもチームとして運動量が極端に落ちず、「自分達のサッカー」をやり切ることに成功します。




 アディショナルタイム90+3分には同点を狙う相手から清武功暉選手がカウンターでダメ押しゴールを奪い、緊張感のある試合はジェフ千葉の完勝で決着。


 試合後のエスナイデル監督は、「勝つことは常にポジティブなことです。勝つことによって次の週の練習も良い状態でできる。チームの成長具合には満足しています。たとえ試合の結果が引き分けであっても、その気持ちは変わりません。だから、先週の山形戦も幸せでした。結果については満足していますし、私たちがやっているサッカーに対して結果以上に満足しています。」とコメントしました。




 開幕3試合で2勝1分けの勝ち点7と最高のスタートを切ったジェフ千葉。


 しかし、次の相手は反町康治監督率いる"くせ者"松本山雅FC。注目の一戦となった名古屋グランパス戦の後とあって、他チームは今季のジェフ千葉の戦術を研究してきました。


 猛然とプレスを掛ける中盤を無効化しようと、ハイラインでぽっかり開いたGKとDFラインの間を狙って何度もカウンターを仕掛けてくる松本山雅FC。




 チームとしてプレスが掛からないことで味方選手との距離が遠くなってしまい、簡単なミスをしてはカウンターを食らって、気づけば3失点の大敗。自慢の攻撃陣も堅守の相手から1点を奪うのが精一杯と、結局、1-3で今シーズン初めての敗北となりました。


 第5節の vs 湘南ベルマーレ戦はアウェイで0-2の敗戦。続いてホームで行われた vs 京都サンガFC戦(2-2)と、ザスパクサツ群馬戦(1-1)を共にドローで終えると、順位は13位にまで落ちていました。




 5試合振りにアウェイの地でレノファ山口に勝利するも、過去、比較的相性の良かった横浜FCには0-4と大敗。


 「ホームのフクアリでは負けない」神話を継続しながらも、アウェイでは勝つことが出来ず、前半戦が終わってみれば8勝6分け7敗と、勝ち点30の13位。プレーオフ圏内の6位とは勝ち点差4、自動昇格圏内の2位とは勝ち点差13と、当初の期待とは程遠い現実が待っていました。




 このままでは大きな変化は見込めないと感じたフロントは、シーズン前半戦が終わると同時に戦力の補強に乗り出します。


 アルビレックス新潟からは指宿洋史選手が完全移籍で加入。指宿選手は2009年に当時スペイン2部に所属していたジローナFCに入団、レアル・サラゴサB(4部相当)やCEサバデル(3部)を経て、2011年には名門セビージャFCと契約を果たすなど、今回のジェフ千葉への移籍は、エスナイデル監督が実際にスペインで見た時のプレーや印象が決め手になったといいます。


 さらに、清水エスパルスからキム・ボムヨン選手、アビスパ福岡から為田大貴選手、名古屋グランパスから矢田旭選手が期限付き移籍で加入と、弱点であるポジションをピンポイントで埋めていく補強がなされました。




 シーズンも折り返しの後半戦に突入すると、最初の6試合を4勝2敗と幸先の良いリスタートをきり、順位も7位とJ1昇格プレーオフ圏内に迫るところまで巻き返してきました。


 そして運命の第28節、ホームのフクアリで対戦する湘南ベルマーレは、第17節以降ぶっちぎりで首位を突っ走っている優勝候補であり、J1昇格に向けて絶好調を維持している強豪でした。


 しかし、ジェフ千葉には強力なジンクスがありました。それは、今シーズンのホームゲームでは8勝5分けと一度も負けていなかったことです。


 8月16日に行われたこの試合は、平日(水曜日)の19時試合開始にも関わらず、フクアリには12,485人の観衆が集まりました。




 ジェフ千葉の布陣は4-3-3。アンカーの位置には熊谷アンドリュー選手が入り、中盤には町田也真人選手と矢田旭選手、前線は右から船山貴之選手、ラリベイ選手、清武功暉選手と、今考えられるベストメンバーで湘南ベルマーレに挑みました。


 前半5分、清武功暉選手が中盤で奪ったボールを、相手最終ラインの背後を右サイドから完全に抜け出したFW船山貴之選手に絶好のスルーパス!


 GKと1対1となった船山貴之選手は右45度の角度から強烈なシュートを放ちますが、このシュートが湘南GKの秋元陽太選手の右手中指にわずかに触れ、ボールはゴールポストの外側に当たってゴールならず。




 このゴールが決まっていたら・・・その後のジェフの運命も変わっていたかもと思わせる程の惜しいシュートとなりました。それでも前線からの激しいプレスで主導権を握ったジェフ千葉は、ショートカウンターから立て続けに決定機を演出。


 12分、清武功暉選手→町田也真人選手→ラリベイ選手と軽快にパスを繋げて最後は町田也真人選手がシュート。


 16分、左の中盤にポジションしていた熊谷アンドリュー選手がキム・ボムヨン選手にボールを戻しピッチを広げると、そこには右サイドを懸命に上がってきたDF溝渕雄志選手の姿が目に入りました。




 サイドチェンジされたボールがピンポイントで溝渕雄志選手に通ると、スルスルとゴール中央にポジションを移したFW船山貴之選手にダイレクトクロスを送ります。


 FW船山貴之選手が強烈なヘディングシュートを放つも、僅かに甘く行ったボールはGK秋元陽太選手の正面に飛び、懸命なパンチングで弾かれ惜しくもゴールならず。


 しかし、その後もジェフ千葉の勢いは衰えず攻勢は続きます。




 20分、30メートル以上は離れているであろうゴール左からの直接FKを、清武功暉選手が無回転でシュート。試合直前にピッチに撒かれた大量の水により、GKのちょうど前でバウンドしたボールは僅かに軌道が変わり、あわや先制ゴールという際どいシュートでした。


 直後の23分には、右サイドを果敢にオーバーラップしていた町田也真人選手がペナルティエリア内にクロスを送ると、ゴール正面で待ち構えていた清武功暉選手がDFの前に回り込みボレーシュート。




 ボールはGKの頭上を越えるもクロスバーに直撃。弾かれたボールがルーズボールとなりピッチに転がると、そこに走り込んで来たのは矢田旭選手。


 懸命に二人のDFが体を寄せてシュートコースを消しにかかるも、一瞬先にボールに触れた矢田旭選手が右足を一閃。しかし、シュートはGKのほぼ正面に飛び、ゴール裏の湘南ベルマーレサポーターは安堵の表情を浮かべることに。




 それでも攻撃の手を緩めいないジェフ千葉は、34分にラリベイ選手が振り向きざまにシュート、39分には熊谷アンドリュー選手のサイドチェンジから乾貴哉選手がゴール前にクロスを供給するも、飛び込んだFW船山貴之選手の足には僅かに届かずノーゴールで前半を終えました。


 ぶっちぎりで首位を走る湘南ベルマーレに対し、前半のジェフ千葉のプレーは本当にパーフェクトでした。




 後半に入ってもジェフ千葉は主導権を握り続けました。そして、エスナイデル監督は早めの交代策でその勢いを加速させます。


 68分、FW船山貴之選手に代えて為田大貴選手を投入すると、為田大貴選手を左に、清武功暉選手を右にポジション変更。直後の70分には清武功暉選手が右サイドからクロスを送り、ラリベイ選手がシュートを放ちました。76分、ラリベイ選手に代わって指宿洋史選手をピッチへ投入。




 78分、ハーフウェイライン付近でキム・ボムヨン選手がボールを奪うと乾貴哉選手にパス。左サイドまで上がっていた乾貴哉選手は中にいた為田大貴選手にすかさず横パス、すると、中央にはフリーで待ち構える矢田旭選手の姿が目に入りました。


 矢田旭選手が狙い澄ましてゴール左隅にシュートを放つも、GK秋元陽太選手の決死の横っ飛びでボールは無常にもポストの外に。




 直後の79分、清武功暉選手からのショートコーナーを町田也真人選手が受けると、中盤にポジションしていた矢田旭選手にパス。そのパスをノートラップでゴール前に走り込んできた指宿洋史選手に送るも、必死に伸ばした足よりも先に相手DFがボールに触れてシュートまで持ち込むことが出来ませんでした。


 迎えた81分、左CKを相手に与えると、途中出場のドラガン・ムルジャ選手がゴール左隅にヘディングシュートを叩き込み、圧倒的に試合を制していたジェフ千葉にとっては痛恨の失点。


 85分には矢田旭選手に代えて若狭大志選手を投入し、DF近藤直也選手を最前線に上げて圧力を強めて相手ゴールに迫りました。が、決死の作戦も最後までゴールを奪うことは出来ず、0-1のまま今シーズン初めてホームのフクアリで黒星を喫しました。




シュート数はジェフ千葉の19本に対し、湘南ベルマーレは僅か2本。


 「本当にいい試合をしたと思っていますし、内容に満足しています。選手に対しては文句のつけようがありません。彼らの努力に感謝していますし、素晴らしいプレーを見せてくれました。負けて嬉しい試合は無いので喜んでいるわけではありませんが、自分たちのサッカーには満足しています。」


 試合後、エスナイデル監督はそう語りました。




 指揮官はさらに続けます。


 「もし我々がこのパフォーマンスをキープすることができれば、多くの試合に勝てると信じています。これが我々の進むべき道です。監督としての目的は、このパフォーマンスレベルをキープすることです。」


 Uさんも私もフクアリで観戦していて、「この試合がここ数年のベストゲームだな」と、確信できるようなそんなゲームでした。


 しかし、これ以降、この高揚感が幻であったかのようにジェフ千葉の低迷は続いていくのです。


 つづく

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