フクダ電子アリーナ

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2014年11月10日月曜日

アルウィンの歩き方 松本平広域公園総合球技場 徹底攻略ガイド その16 (終)



 この日の気温は12・6度。11月の松本が寒いことは覚悟していましたが、降り続く雨により体感温度はさらに低く感じます。





 私自身、夏から続く体調の悪さが「冷え」からきているせいもあり、かなりギリギリの精神状態でしたが、ここまで来たからにはゴールシーンを撮影しないで帰る訳にはいきません!




 前半、ジェフ千葉はメインスタンドからみて左に攻めます。Uさんと私が座っている座席に近いゴールということで、決定的瞬間を逃すまいとかじかんだ手でデジカメを操作します。




 撮影していて気づいたこと、それはアルウィンスタジアムはピッチに対して平行に観客席が配置されているので、目の前のプレーはとても観やすいのですが、体を捻るとイスのゴツゴツした感じが気になりました。




 ジェフ千葉の本拠地であるフクダ電子アリーナは、四辺が湾曲して設計されているので、18500席ある座席が全てセンターサークル方向に向いているため、体を捻らなくてもピッチ全体を観ることが出来ます。




 スタジアム全体から沸き起こる松本山雅FCに対しての声援の凄まじさ!!


 J1昇格を決めた直後の凱旋試合ということもありますが、反町監督は今日の試合を来期J1で戦うための重要な試合と位置づけていることから、「山雅スタイル」の全てを剥き出しにして襲い掛かってきました。




 アルウィンスタジアムでのホームゴール裏の雰囲気は、今まで行ったどのアウェイスタジアムにも感じることの出来ないほどの「俺達がチームを勝たせるんだ!」という空気が支配していました。




 その圧倒的な存在感は、メジャーリーグのボストン・レッドソックスの本拠地フェンウェイ・パークにそびえ立つ「グリーン・モンスター」のよう。




 松本山雅FCの勇姿をひと目見ようと詰め掛けた観客は過去最高となる、18,114人。


 あいにくの天候の中、遠路はるばる千葉から来たジェフのサポーターも力の限り声援を送り続けます。




 中盤で丁寧にボールを繋いでいくジェフ千葉に対し、持ち前のハードワークでピッチを縦横無尽に駆け回る松本山雅FC。




 ホームの大声援を受け躍動する松本山雅FCは前半14分、背番号11 喜山康平選手がダイビングヘッドで先制ゴールを決めるとスタジアムはお祭さわぎ状態。




 相手よりも多い18本のシュート数を放つも、決定的な場面が少なくジェフ千葉のやりたいサッカーをさせてもらえません。




 すると後半23分、松本山雅FC 背番号8 岩上祐三選手のゴールが決まり流れは完全に松本山雅FCのペースに。




 「勢い」という言葉だけでは説明できない歴然とした差が両チームにはありました。




 オーロラビジョンには「ロスタイム4分」の文字が。


 過去最高の18,114人が来場し、帰りの混雑が予測出来ないことからUさんと私はそそくさと帰り支度をしてアルウィンスタジアムを後にすることに。




 来たときと同じく1番ゲートから出てホームゴール裏を抜け、無料シャトルバスが停車している「第12駐車場」に向かって小走りに進みます。




 するとスタジアムの中から大歓声が。後半48分、ジェフ千葉 背番号11 森本貴幸選手が意地のゴールを決め1-2としますが時すでに遅し、試合はそのまま2-1で松本山雅FCが勝ちました。




 試合も負け、ゴールシーンも撮影できず・・・。




 第12駐車場に到着すると、Uさんと私の前は10人ほどしか並んでいませんでした。


 「濡れたカッパを脱いでバスの中へお入り下さい」と運営スタッフの声。




 Uさんと私も無事2人掛けの席をゲット。行きと同じく25分の道のりを座ってJR松本駅まで帰ってくることができて快適でした。




時刻は15時30分。復路のスーパーあずさ 32号の発車まで2時間半あることから、アリオ松本店の中にあるサイゼリアでゆったりすることに。




 朝からほとんど食事という食事をしていなかったため、気持ち悪さをこらえて限定のオニオンスープを注文。体の状態を気にしつつ1時間掛けて食べました。




 余った時間でJR松本駅構内にあるおみやげ屋さんで信州限定のお菓子を中心に物色。


 これに勝ち点3を持ち帰ることが出来たらどんなに良かったことか・・・。




 Uさんは帰りの車内で食べるために「名物 山賊焼弁当」を購入。




 松本名物 山賊焼きの由来は、鶏を揚げる → とりあげる → 取り上げる → 山賊になったと言われています。(諸説あり)


 安曇野産の米を使用し唐揚げのボリュームも満点!これでお値段730円は安い。




 18時35分、定時に出発。楽しかった松本の地を後にします。




 今回の松本旅行で感じたのは、歴史の重みもさることながら、地域全体が活気に満ちていて、そんな中にしっかり根を下ろした「松本山雅FC」というクラブがあったということ。




 そんな地元に愛されているクラブがJ1に挑戦していくことがJリーグの発展に繋がっていくのではないでしょうか?


 ジェフ千葉もJ1昇格プレーオフに向けて、残り2試合悔いの無いようにしっかり戦っていかなければ。


 来年、「J1の舞台でまたアルウィンスタジアムに来たい!」そう強く思えた観戦となりました。


 (終わり)

アルウィンの歩き方 松本平広域公園総合球技場 徹底攻略ガイド その15



 一方、ジェフ千葉はというと、長年愛され続けていた「Win By All」というキャッチコピーはそのままに、2009年シーズンのクラブスローガンを「YELLOW TOP 2009」に決定。


 プレミアリーグのリバプールFCから招聘したアレックス・ミラー監督を続投させ、前年起こした奇跡のJ1残留を無駄にしない覚悟で戦いました。




 しかし、チームは第4節時点で17位に低迷、多少盛り返すも第17節から15戦未勝利(6分9敗)と勝ち運からも見放され、7月27日(第19節終了後)、遂にアレックス・ミラー監督を解任。


 その後、ジェフ市原のOBでもあった江尻篤彦が監督に就任するも、第31節の vs 川崎フロンターレ戦で前身・古河電工時代も含めてクラブ史上初の下部リーグへの降格が決まってしまったのでした・・・。




 2010年、クラブスローガンを「走りきる!そして、その先へ。」に決定。前年、シーズン途中からチームを率いた江尻篤彦監督が続投し初のJ2リーグに挑むも、9月12日(第25節)、同じく昇格を争うアビスパ福岡戦に敗れるとチームのムードも停滞。


 11月23日(第36節)に行われた vs ザスパ草津戦に敗れ、J1自動昇格圏外である4位に転落すると、シーズン終了後に江尻篤彦監督が退任を発表し、クラブ初のJ2リーグは4位で戦い終えました。




 2011年、それまでクラブのキャッチコピーでしかなかった「Win By All」をクラブスローガンに昇格させ、社長以下、クラブスタッフも含め背水の陣でシーズンを戦い抜くことを誓いました。


 しかし、新たにオランダ人のドワイト・ローデヴェーヘスを監督に招聘するも、選手の入れ替わりの多さにチーム戦術が浸透せず、シーズン成績は6位で終戦。




 2012年、クラブスローガンの「Win By All (全員の力で勝つ)」をクラブフィロソフィー(哲学)に昇格させ、この年のクラブスローガンを「DAKKAN 奪還×脱甘」と発表しました。


 前年まで水戸ホーリーホックで目覚しいサッカーを披露し、J2リーグの戦い方を知る木山隆之氏を監督に招聘。第24節には首位に立つなどそれまでのジェフ千葉のスタイルをかなぐり捨ててシーズンを戦い抜きましたが、J1自動昇格圏内には遠く及ばない5位でプレーオフにまわることに。




 昇格プレーオフ1回戦の横浜FC戦をアウェイで4-0と一蹴するも、大分トリニータと対戦したプレーオフ決勝ではあと4分でJ1復帰というところで決勝ゴールを決められ0-1で敗戦、試合終了のホイッスルが鳴り、呆然とするMF佐藤勇人選手の表情がとても印象深く残っています。




 2013年シーズンのクラブスローガンは「絶対J1!」。元大宮アルディージャ監督の鈴木淳氏が監督に就任。シーズン最終成績は5位でJ1昇格プレーオフに進出。


 プレーオフ1回戦はアウェイで徳島ヴォルティスと引き分けるも、リーグ戦の順位が下だったため規定により決勝進出は成らず、2年連続のプレーオフ敗退となりました。




 そして今年、クラブスローガンを「FUN!~勝利のために~」とし5年目のJ2リーグを戦うことに。


 チームの主力である米倉恒貴選手がG大阪に移籍するなど、鈴木淳監督の目指すサッカーが見えずチームは低迷、第6節終了時に9位、第18節終了時に8位になった以外は2桁順位が続き、第19節の vs ギラヴァンツ北九州戦に敗れた直後の6月23日に監督との契約解除を決定。




 しかし、ロンドン五輪で日本代表監督を務めた関塚隆氏が指揮を執るとチーム成績も急上昇を遂げ、無理と思っていたJ1昇格プレーオフに進出することが出来る6位以上が現実として見えてきたのです。


 このように両クラブの歴史を見ていくと、スローガンのもとクラブがひとつになって邁進してきた松本山雅FCと、フィロソフィーの重圧に押し潰されてしまったジェフ千葉が対照的に映ります・・・。




 12時30分、とうとう雨が本格的になってきました。




 メインスタンド側コンコースにあるグルメ売店をチェックしようと試みるも、大行列でグルメ屋台の前は撮影できないほど。


 仕方なくトイレだけ済ませて座席に帰ることにしました。




 ピッチでは選手達の入念なトレーニングが続いています。




 S指定席(ゾーン指定)は、ちょうど写真のようにペナルティエリアのラインより内(SS席側)だとギリギリ濡れずにすみそうな感じ。




 Uさんと私が座っている座席は、左からの風のせいでカッパを着用しないと濡れてしまいますが、風が無い時は何とか大丈夫そうな本当に際どい場所でした。




12時45分、スターティングメンバーの発表が始まりました。


 GK 背番号24 高木駿、DF 背番号20 キム・ヒョヌン、DF 背番号5 山口智、DF 背番号2 大岩一貴、MF 背番号8 谷澤達也、MF 背番号7 佐藤勇人、MF 背番号16 佐藤健太郎、MF 背番号17 中村太亮、MF 背番号33 幸野志有人、MF 背番号28 町田也真人、FW 背番号11 森本貴幸。




 続いてサブメンバーの発表。


 GK 背番号1 岡本昌弘、DF 背番号15 田代真一、MF 背番号10 兵働昭弘、MF 背番号13 山口慶、FW 背番号9 ケンペス、FW 背番号19 オナイウ阿道、FW 背番号31 ジャイール。




 リーグ戦もこの試合を含めて残り3試合、J1昇格プレーオフで最もアドバンテージのある3位になるためには勝ち点3を積み上げるしかありません。




 13時ちょうど、遂にキックオフのホイッスルが鳴らされました!



 続く

アルウィンの歩き方 松本平広域公園総合球技場 徹底攻略ガイド その14



 アルウィンは約60億円を投じて建設され、2001年5月から供用が開始された収容人員20000人(観客席16000席、立見席4000席)の中堅クラスのスタジアムです。




 前節までのホームゲーム19試合の総入場者数は234372人で、1試合平均の入場者数はなんと!12335人。




 ジェフがまだジェフ市原と呼ばれていた時代、準ホームとして年に一度のJリーグを開催していたこのアルウィンスタジアムで、地元のクラブである松本山雅FCが地域に根ざしているという事実には感慨深いものがあります。




 6月28日に開催された「ジェフユナイテッド市原・千葉 vs 松本山雅FC戦」では、大勢のサポーターがフクアリに押し寄せ、その凄まじい声援はどっちがホームチームが分からないほどでした!


 その時に私がツイートした内容がコチラ→ フクアリの歩き方 フクダ電子アリーナ 徹底攻略ガイド3


(S指定席前にある車イス専用エリア。こちらは4台分のスペースがありました)




 松本山雅FCとジェフ千葉のつながりとしては、2009年シーズン開幕前に起こった「クラブスローガン問題」が思い出されます。




 当時、北信越リーグを戦っていた松本山雅FCは、クラブスローガンを「Win By All」にすると発表。




 しかし、この「Win By All」というスローガンは既にジェフ千葉がキャッチコピーとして使用していたことから、松本山雅FCのもとにはジェフ関係者やジェフサポーターから抗議が寄せられました。




 ジェフ千葉が長年使用していたキャッチコピーだと認識していなかった松本山雅FCは、すぐに使用自粛を決定し、ジェフ千葉関係者とサポーターに対し謝罪をすると共に、




 「来期、下部組織でありますジェフユナイテッド市原・千葉リザーブズとの対戦ができるよう、そして近い将来J1の舞台で対戦できるよう山雅サポーターと共に駆け上がります」というメッセージがジェフ千葉の公式サイトに届けられました。




 その後、松本山雅FCは新スローガンとして「ONE SOUL~思いは一つ。共に駆け上がろう~」を発表。


 個人的には、この瞬間が両クラブにとってターニングポイントだったんじゃないのか?と本気で思っているんです。




 この年の天皇杯、松本山雅FCは地域リーグ所属クラブとして史上初めてJ1クラブを破ったり、地域サッカーリーグの決勝大会で優勝しJFLに昇格を決めました。




 チームスローガンを「ONE SOUL ~Jへの道。共に駆け上がろう~にした2010年から僅か2シーズンでJFLを突破、Jリーグ臨時理事会で正式にJ2リーグへの入会が承認されました。




 2012年 ONE  SOUL  ~プロフェッショナルへの変革!~

 2013年 One  Soul  ~山雅スタイルへの挑戦~




 2012年シーズン、前年まで湘南ベルマーレの監督だった反町康治氏が監督に就任すると、クラブスローガンに合わせたチーム作りでメキメキと実力をつけ、2013年にはJ1昇格プレーオフ進出まであと一歩というところまで来たのです。




 そして今シーズン、クラブスローガンを 「One  Soul  ~走力×創力×総力~」にした松本山雅FCは、チームコンセプトである運動量と分析力を武器にJ2の強豪を次々に蹴散らし、僅か3シーズンで日本サッカーの最高峰であるJ1昇格を達成してしまったのです!


 続く