(画像と内容は関係ありません)
「マネーボール」とは、マイケル・ルイスという著者によって書かれたノンフィクション本。
4年連続(2000年~2003年)で地区優勝を成し遂げた、オークランド・アスレチックス(メジャリーグ・ベースボール)のビリー・ビーンGM(ゼネラルマネージャー)を描いたベストセラー。
選手の総年棒が名門ニューヨーク・ヤンキースの3分の1でありながら、今まで常識とされてきた「経営の方法」、「選手獲得のノウハウ」、「戦術」などに独自の解釈を加え、メジャーリーグを席捲した実話。
ビリー・ビーンGM役をブラッド・ピットが演じて映画化された、今、最もホットな野球理論です。
そんな「マネーボール理論」ですが、「たとえ種目がサッカーに変わっても、その考え方は通用するんじゃね?」というのが今回のテーマです。
「選手の獲得について」
先日、3チームの競合の末に当たりくじを引いた、東洋大・藤岡投手の例を出すまでも無く、プロ野球の場合はドラフト制度によって所属チームが決まります。(千葉ロッテに入団してくれてありがとう!)
それに対して、Jリーグの世界では試合に出場できる人数制限はあるものの、外国人選手も含め全て自由競争での獲得となっています。
したがって、(自分が獲得される選手の立場に立てばよく分かりますが)、「クラブの基盤がしっかりしている」、「選手の質が高く、魅力的なサッカーをする」、「自分を高く評価してくれている(高年棒)」等の理由により、将来が有望な選手はJ1の強豪クラブに入るのは自然の理。
そこで出てくるのが、「マネーボール」の考え方。選手獲得の際に重要とされている資質の評価方法を、従来とは違う視点から見るということなのです。
「サッカーは点を取られなければ負けないスポーツ」、「試合が終わった時に1点でも多くなっていれば勝つスポーツ」という原点に立ち返り、今まで評価してきた判断基準(つまり、背が高いとか、足が速いとか、テクニックがあるとか)を、強いチームを作るにあたって解釈を変えてみるということだと思うのです。
野球でいえば、硬式野球の経験が全く無いソフトボールの選手をドラフトで指名した日本ハムなどが、「従来の常識を一度疑ってみて、素質で選手を獲得する」というスタンスを取ってチーム編成を行っているのかも知れません。
現代のような情報化社会は、とかく、どのチームも同じようなスカウティングのノウハウ・世界中にちらばる選手の情報を「データ」として持っていてもおかしくありません。
しかし、その「データ」をどの角度から眺めるかはそれぞれのクラブのセンスで、ここに大きな違いが出てくるのは間違いありません。
「マネーボール」は現実の大リーグで結果を残し、その秘密は本として世に出され、映画として広く一般まで浸透してきています。
クラブが飛躍する時、それは「ローコスト・ハイパフォーマンスが実現した時」です。
簡単にいえば、「安く獲得した選手が、思った以上にチームに貢献してくれる」状態が、一度に複数起こった時、そのチームは台風の目と呼ばれるようになります。
逆にいえば、「今までの実績で選手を獲得したものの、既にその力が落ちている」ような場合は、「ハイコスト・ローパフォーマンス」になってしまっているということです。
埋もれているダイヤの原石は必ずいるはずですし、それを見極める従来とは違った価値観を見つけたクラブが次の台風の目になるのかも知れませんね。
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